独立起業

「使い捨てデザイナー」から「パートナー」へ

とある会社の社長さんから二度目のデザインのご依頼をいただき、打ち合わせに伺った時のことです。
仕事の詳細を説明された後、おもむろに社長はおっしゃいました。

「こうなりたい、という目標があるか?」

私はこのシンプルな質問に、ハッとしました。
私が言いよどんでいると、そのまま社長は続けられました。

「プロ意識の問題だ。アルバイトに毛が生えたくらいの感覚とちがうか?」

「・・・・・・」

 

何も答えられなかったのは、恥ずかしながらその通りだったからなんですよね。

「デザインで役に立ちたい」という想いはベースにありましたが、いざフリーになってそこからの目標はというと…
当時の私は、生活していけるだけのお金が入ってくればOK、という感覚だったように思います。

 

「自分の値段をきちんと考えた方がいい。安いから選ばれるデザイナーになりたいのか?

例えば同じ50万円であっても、世の中には「高いな~」としぶしぶ払う人間もいれば「ありがとう!」と喜んで払う人間もいる。

喜んでお金を払ってもらえるデザイナーになりたくないか」

 

それから社長は、仕事のこと、友人のこと、社会のことなど様々な話を聞かせてくださり、最後に私の顔をじっとみつめて、こうおっしゃいました。

「初めアンタが営業に来たとき、ちょうど知人がお店を立ち上げるタイミングだったんだ。正直ダメなら使い捨て、くらいの気持ちでロゴを依頼した。でも知人があのロゴをすごく気に入ってくれて…」

「使い捨てデザイナー」ではなく「パートナー」として仕事を続けるために今回のお話があったんだ、と私はようやく気が付きました。

この社長の言葉によって私は、仕事をする上での「プロ意識」について考え始めたのです。