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「誰」に見せるか、「何」を見せるか

独立前、看板製作会社に勤めていた頃の仕事の中で、点字プレートを入れたサインの制作がありました。
市町村の合併にともなって市民局の案内板を書き換える必要があり、以下、社の者が、とある点字サイン制作会社に「1枚からの点字プレートの依頼」をした時の話です。

◆「◯◯からご紹介を受けて・・・ こういった内容の点字プレートですが、1枚からでも制作していただけますでしょうか?」
◇「1枚からでもしておりますが、どういったサインに使われるんですか?」
◆「インクジェット出力をした館内案内図の課の名称の下等につけようと思っているんです。」
◇「申し訳ありませんが、そういった内容でしたらお取引はできません。わが社ではそのような粗悪な点字サインを排除していこうという方向で動いていますので・・・」

それから、そのようなサインは目の不自由な方にとってどういうモノなのかを説明してくださいました。
部屋割りの枠がなく課の名前のみが点在している=真っ白の紙の上に課の名前のみが点在しているのと同じであるという事・・・ 全く案内図にはなっていませんよね。

目の見える者にとっては、点字プレートがあることで福祉が行き届いている印象を受けますが、本当に役割を果たしている点字であるかどうかの認識の甘さを痛感しました。

その後、総合案内板のところに、受付への誘導と 「受付にいる係の者がご案内します」の旨を点字サインで記載する方法を選択し、改めて制作依頼をしました。

誰に見せるか、何を見せるか—
デザインや制作をする上で、最も大切なことですね。